Sakoyan Songs
ソファーに腰を下ろし、男は酒を注ぐ。
グラスの縁に反射する冷たい光に、思い出を投影し、
長く、深く、息を吐く。
疲れた心に、懐かしい想いが広がる。
あの頃は、出来すぎた映画のようだったと、
男は振り返る。
しかし、次第に、後悔の念が渦を巻く。
愛する女を、幸せに出来なかったことを悔やむ。
懐中時計を取り出し、止まったままの針を見つめる。
それを持つ手に、時が刻んでいる。
男は静かに目を閉じ、もう一度、過去に浸る。
グラスに残った氷が、ゆっくりと融けて行く。
2009年7月22日水曜日
Recollect Time