謎のうちわサボテン
謎のうちわサボテン
とある沿線沿いの道を歩いていたとき、線路わきにうちわサボテンが生い茂っているのを見つけた。
結構大きな茂みだったので、 これほどになるのに、いったいどれくらいの時間がかかったのだろう…と思いながら写真を撮った。
近くの家のベランダで育てられていたサボテンが、強風の日に飛ばされてきたのだろうか。はたまた、サボテンの一部をついばんだ鳥が、この上空で落としたものなのだろうか。とにかく、 誰かが故意に植えたものとは考えにくい。 何らかの理由でこの場所に運ばれて来たうちわサボテンの一部が、人の手を借りずに自力でここまで生い茂ったのは、場所柄、間違いなさそうだ。
それにしても、うちわサボテンをむさぼるガラパゴスの陸イグアナは有名だが、うちわサボテンをついばむ日本の野鳥というのは、聞いたことがない。野鳥に詳しいわけではないから、私が知らないだけで、サボテンの針をへとも思わない豪快な鳥が、そこいらへんをしょっちゅう飛び回っているのかもしれない。もしかしたら、いっこうに数を減らさない東京のカラスの仕業か。何でも食べる彼らならありえることだ。などと、小一時間ほどあれこれ考えたが、結局納得のいく答えは見つからなかった。
いくつかツボミもあったので、花が咲く頃にまた写真を撮りに来ようと思い、この写真を撮った数週間後に再び同じ場所を訪れたら、サボテンたちは跡形も無くすっかり除去されていた。
突出しエッセイ